鍼灸について

鍼灸とは?  鍼灸治療とは?  鍼灸の適応症  鍼灸師の資格  患者さんの声    

■鍼灸とは? 


昨今耳にし、世界からも注目を得られるようになった『美容鍼』は日本独自に技術を高めた技術でもあります。

身体の内外の調整を図り、自己治癒力を高める手法として西洋医療のサポートとしても活かされているのです。


■鍼灸治療とは?


鍼灸院では、東洋医学独特の手順に従った触診その他、脈診、聴診等の検査をし症状に応じた治療を行います。
症状や痛みの具合、部位、経過、原因、体調、既往歴など来院理由とあわせ治療に必要な問診を行います。
その後、患者さんの要望とあわせ治療方針を説明し、施術に入ります。

問診、検査によっては東洋医学だけで判断できないケースもあります。科学的見地から法的に実施可能な西洋医学的検査を促す場合もあります。問診は、鍼灸治療でできること出来ないことを正しく判断し、誤診の無いよう注意します。

鍼灸は、古来より東洋医学としての基本治療がありますが、幅広い治療法と流儀があり、各鍼灸師の得意とする手技で治療をおこなっています。

<鍼の施術について>

・ステンレス製の非常に細い鍼(長さ約40mm~80mm、太さ直径0.17mm~0.33mm)を経穴(ツボ)や経脈、筋肉に刺入。
・主な刺入法は管鍼法。円形の金属或いは合成樹脂製の筒を用います。中国鍼は筒を使わず施術する技術もあります。
・鍼を経穴(ツボ)に刺入することで刺激(鍼を上下したり回旋、振動させたりすぐ抜いたり)を加えたり、10~20分間置いておく場合があります。
・刺入した鍼に、微弱な低周波パルスを通電をし痛みや筋肉のこり、血液循環の促進に効果があります。

・皮膚に接触させたり押圧させる「刺さない鍼」は、小児鍼として乳幼児の夜尿症,夜泣きなどに効果があります。


 鍼の消毒は、オートクレーブと云う高温高圧式滅菌装置や化学的な方法で安全を期しています。
ディスポ鍼の急速な普及により、国内では一回限りの使い捨て鍼を使用、感染症の心配なく安全に施術を受けられます。


<灸の施術について>

・艾(もぐさ)を用いて経穴(ツボ)に熱刺激を加える方法です。
・施灸後は、皮膚に水泡が出来たり灸痕が残ります。施術前に熱刺激の効能とケアについてよく説明を受けましょう。
・艾を直接皮膚上に乗せ着火。直接灸と艾と皮膚の間を空けて行う間接灸とがあります。
・直接灸は、艾を糸状,米粒大の細いものから小指大の大きさがあります。
・間接灸は、艾と皮膚の間に空間を作り、味噌、生姜・にんにくのスライスなど熱の緩衝材で温和で心地よい施灸です。

その他、刺入した鍼の頭(先端)にそら豆大の艾を取り付けて点火する灸頭鍼。熱の刺激源を遠赤外線やレーザーとする科学的な手法もあります。市販の製品で施灸や温灸をご自宅で気軽に行うこともできます。鍼灸師に指示を受けて下さい。


<その他の補助療法について>
・遠赤外線照射、低周波通電、吸い玉、テーピング、予防体操などの指導を行う場合もあります。



■鍼灸の適応症


鍼灸療法は「肩こり、腰痛、神経痛、関節炎などにしか効果がないのでは?」と思われがちですが、
古来から鍼治療が廃れず、今もなお存在し続けているのは、つらい痛みや病気など多くの症状に効果が得られているからです。

<鍼灸の適応例>

近年、NIH(米国 国立衛生研究所)の見解として鍼灸療法の各種の病気に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果が得られると発表されています。

以下、鍼灸療法で有効性がある疾患です。参考ください。
◎=特に有効性があるもの。


【神経系疾患】

 ◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー

【運動器系疾患】

 関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

【循環器系疾患】

 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ

【呼吸器系疾患】

 気管支炎・喘息・風邪および予防

【消化器系疾患】

 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾

【代謝内分秘系疾患】

 バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

【生殖、泌尿器系疾患】

 膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎

【婦人科系疾患】

 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊

【耳鼻咽喉科系疾患】

 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎

【眼科系疾患】

 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい

【小児科疾患】

 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

【その他】

 免疫力向上、内臓・代謝機能の調整、肌質や潤い等の美容効果


<鍼灸不適応症状>

鍼灸の不適症状

心疾患、感染症、動静脈疾患、血腫、化学物質過敏症、悪性腫瘍、内科的疾患、認知症、酩酊時、高熱症状、

血圧が著しく高い・低い場合、精神異常時、開放創、

縫合部、治癒過程にある骨折部、

その他重篤な状態にある時 など

※内臓・骨・脳・神経・血管などに原因がある場合

 西洋医学の治療が必要です。


■鍼灸師の資格

日本では鍼灸施術をおこなうには、はり師・きゅう師の資格が必要です。
高等学校卒業後、鍼灸専門学校・鍼灸大学・鍼灸短期大学等の教育機関で各種医学・鍼灸技術の勉学を一定期間受け卒業試験に合格後、さらに国家試験に合格することで資格を取得します。その後も各種の学会、研究会、講習会にて卒後教育に励まなければなりません。学問、技術とも一定の水準で、安心して鍼灸の施術を行えるよう学び続けます。

(公社)東洋療法学校協会 http://www.toyoryoho.or.jp/